トラック運転手はきつい？腰痛持ちでも続く働き方とスケジュールのリアル

「トラック運転手」と検索窓に打ち込むと、サジェスト機能で「きつい」「やめとけ」「ブラック」といったネガティブな言葉が並ぶことがあります。これを見て、「興味はあるけれど、今の体力で本当に務まるのだろうか……」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

特に、年齢を重ねてからの転職や、腰痛などの持病を抱えている方にとって、「肉体労働」へのハードルは決して低くありません。

しかし、長年物流業界を取材してきた筆者からすれば、ネット上の噂は「あくまで一部の極端な事例」か「過去のイメージ」に過ぎないと言えます。

実は今、トラック運転手の働き方は劇的に二極化しています。「体を酷使して稼ぐ働き方」と、「仕組みを使って長く安定して働く働き方」。後者を選べば、体力に自信がない方でも、あるいは定年まで現役でハンドルを握り続けることも十分に可能なのです。

本記事では、当サイト編集部が実施した現役ドライバーへの取材をもとに、**「体を壊さずに長く稼ぐための、賢いトラックドライバーの選び方」**を徹底解説します。

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ネットの「激務」情報は本当か？ 業界のリアル

まず結論から申し上げます。ネット上で語られる「寝る間もない」「重い荷物を延々と運ぶ」という過酷な労働環境は、現在ではかなり減少しつつあります。

2024年4月から適用された働き方改革関連法（いわゆる2024年問題）により、ドライバーの拘束時間や休息期間には厳しい法的制限が設けられました。コンプライアンスを重視する大手・中堅企業を中心に、無理な運行スケジュールを組むことは物理的に不可能になりつつあるのです。

もちろん、依然として古い体質の会社が存在するのは事実です。しかし、それは「会社選び」さえ間違えなければ回避できるリスクです。現代の物流業界において、激務は「当たり前」ではなく、「選ばなければ避けられるもの」へと変化しています。

【調査データ】長距離ドライバーのリアルな1日

では、実際にドライバーはどのようなスケジュールで動いているのでしょうか。

「長距離は家に帰れないからきつい」という声も聞かれますが、実際の負担感はどうなのか。当サイト編集部が取材した、関東〜関西間を走る長距離ドライバー（40代男性・入社3年目）のモデルケースをご覧ください。

▼ある長距離ドライバー（4トン車）の1日

時間	行動内容	詳細・負担度
16:00	出勤・点呼	アルコールチェックと健康状態の報告。
17:00	積み込み	フォークリフトを使用。手積みなしのため、汗ばむ程度。
18:00	出発	高速道路を利用して関西方面へ移動開始。
22:00	休憩（430休憩）	法律で義務付けられた「4時間走行で30分休憩」。SAで食事。
2:00	仮眠	現地の納品先近くのPAで仮眠。トラックの寝台で就寝。
7:00	起床・待機	現場近くへ移動。「荷待ち」の時間。スマホを見たり朝食をとったり。
8:30	荷降ろし	納品先のリフトマン、または自分でリフト操作して降ろす。
9:30	業務終了	日報を送信し、業務終了（※復路の業務がある場合は休憩後再開）。

意外な「暇な時間」の多さ

取材の中で多く聞かれるのが、「運転しているか、寝ているか、待っているかがほとんど」という声です。

特に「荷待ち時間（納品先の都合で待機する時間）」は、業界の課題でもありますが、ドライバー個人から見れば「誰にも邪魔されない自由時間」でもあります。この時間を読書や動画鑑賞に充ててリラックスしているドライバーは非常に多いです。

つまり、「常に体を動かしているわけではない」というのが、建設現場などの肉体労働とは大きく異なる点です。

腰痛持ちでも続く「魔法のキーワード」

もしあなたが体力に不安があるなら、求人を探す際に必ずチェックすべきキーワードがあります。

それは、「全線パレット輸送（手積み手降ろしなし）」です。

「手積み」と「パレット」の決定的違い

トラック運転手の「きつさ」の9割は、運転ではなく「荷物の積み降ろし」にあると言っても過言ではありません。

段ボールを一つひとつ手作業で積み上げる「手積み手降ろし」は、確かにハードです。腰への負担も大きく、若くても悲鳴を上げる人がいます。

一方で、「パレット輸送」は全く別の仕事です。

荷物はあらかじめ「パレット」と呼ばれる台座に載っており、それをフォークリフトを使ってトラックに積み込みます。

• 力のいらない操作: フォークリフトの操作は、指先のレバー操作とハンドル操作のみ。重いものを持つ必要は一切ありません。
• 女性やシニアも活躍: 実際、パレット輸送メインの会社では、60代のドライバーや女性ドライバーが第一線で活躍しているケースが非常に多いです。

「運転は好きだけど、力仕事はちょっと……」という方は、免許取得の際に「フォークリフト免許」もセットで取得（あるいは入社後取得）し、このパレット輸送の会社を狙い撃ちすることで、身体的負担を劇的に減らすことができます。

「対人ストレスほぼゼロ」が長く続く最大の理由

ここまで「身体的負担」について解説しましたが、取材を続けていると、ドライバーたちがこの仕事を辞めない「本当の理由」が見えてきます。

それは、「精神的な楽さ」です。

多くのドライバーが口を揃えて言うのが、「一度トラックに乗ってしまえば、そこは自分だけの城」という言葉です。

上司の顔色を伺う必要もなければ、電話対応に追われることもない。嫌な同僚とランチを共にする必要もありません。

• 好きな音楽やラジオを大音量で流す。
• 休憩中に好きなものを食べる。
• 歌いながら運転する。

営業職や接客業、あるいは工場でのライン作業などで「人間関係」に疲弊してしまった人にとって、この「圧倒的な一人の時間」は、何にも代えがたいメリットとなります。

「腰が少し痛くても、前の職場のストレスによる胃痛に比べれば天国だ」

そう語ってくれた50代のドライバーの言葉が、この仕事の魅力を端的に表しています。

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まとめ：選ぶべきは「体力」ではなく「車種と荷物」

「トラック運転手はきつい」という言葉は、半分本当で、半分嘘です。

正しくは、「選び方を間違えると地獄だが、正しく選べば定年まで穏やかに働ける仕事」です。

体力に自信がない方が目指すべきは、以下の条件です。

1. 「パレット輸送（手積みなし）」を明言している会社
2. 無理な配送をさせない「法令遵守（ホワイト物流）」の会社
3. 地場配送ではなく、高速道路メインの中・長距離（信号待ちやストップ＆ゴーが少なく、運転疲労が少ないため）

これらを満たす求人であれば、トラック運転手は「肉体労働」ではなく、「高度な運転技術を提供する技術職」になります。

もし、今の環境を変えたいと考えているなら、「自分には体力がないから」と諦める前に、「自分に合った荷物と運び方」を探してみてください。ハンドルを握ったその先には、あなたが想像しているよりもずっと自由で、穏やかな景色が広がっているはずです。

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